海底を泳ぐアカムツの撮影に成功しました。
アクアマリンふくしま「ふくしま海洋科学館」と実施した共同研究により、新潟県新潟市西蒲区間瀬沖の水深150m付近で、海底を泳ぐアカムツを撮影することに成功しました。撮影には、アクアマリンふくしまが所有する水深300mまで潜航可能な水中探査機(ROV)を使用しました。
アカムツは、水深100~300m(成魚は主に200~300m)に生息するスズキ目ホタルジャコ科の魚で、高級魚「のどぐろ」として有名な魚です。新潟市水族館が面する佐渡海峡では、8月下旬から9月下旬にかけ、成魚の多くが水深100m付近まで移動してくることが分かっています。この時期のアカムツは生殖巣が発達した成熟個体が多く、移動は産卵のためと考えられています。
本調査は、謎の多い本種の生態を探り、飼育下で困難となっている繁殖行動のきっかけを見つけることなどを目的として、成魚が浅い海域に移動する8月下旬~9月下旬に、2015年から毎年実施してきました。これまでに調査した水深は、102~208mで、今までに知られていなかった生物の天然海域での生態などが多数確認されています。撮影された生物は約55種に上りますが、過去3回の調査では目的としたアカムツの撮影に成功できておらず、本種の繁殖生態の解明には至っていませんでした。
今回の調査は、これまで同様に、浅い海域に移動する8月下旬(2019年8月26日)に実施しました。水深125~187mをくまなく調査した結果、水深150m付近の砂泥底で、幼魚(水深152m)と成魚(水深154m)の2個体を撮影でき、本種が天然海域で生息している様子を確認することができました。映像から、海底から近い場所に定位し、活発な遊泳をしないことが明らかとなり、水槽内での行動と同じであることが確認されました。その他、幼魚期の生息水深や本種の好む底質などが分かり、生態を知るうえで、とても貴重な情報を得ることができました。
今回撮影された映像や調査によって得られた情報等は、当館で来年開催予定の開館30周年記念企画の中で公開展示いたします。
尚、2018年までに撮影された映像は、本館1階の体験・学習ゾーンにある「アクアラボ」で公開中です。