2002年 第28回海獣技術者研究会
展示課 鈴木倫明、加藤治彦、野村卓之、進藤順治、吉田直幸、○新田 誠
栗城智香、山際紀子、長谷川泉、石田祐子
尿は、動物の健康や生理状態の判断に有効な指標である。新潟市水族館では、飼育下鯨目の尿を週1回の頻度で 定期的に採取し、検査している。雌のハンドウイルカ Tursiops truncatus gilli 5頭(体長245~298cm、体重185.0~ 275.0kg、飼育年数3~15年)の尿性状について報告する。尿は、上陸横臥姿勢(=サイドランディング(平野他、1999)) での自発的な排尿行動をオペラント条件付けにより強化し採取した。検査項目は、物理的検査、化学的検査、沈渣の 鏡検、電解質濃度である。2001年12月6日から2002年11月27日までの約1年間で、合計201検体の尿標本が得られ、 19項目を検査した。尿性状の範囲を以下に示す。
【物理的検査】 色調:淡黄色、尿比重:1.027~1.062、採尿量:3~160ml
【科学的検査】 pH:5.0~7.5、ウロビリノーゲン:±~+、タンパク:-~+、糖:-、ビリルゲン:-~±、潜血-~++
【沈渣の鏡検】 赤血球:<1~10個/1視野400倍、白血球:<1~2個/1視野400倍、上皮:1~5個/1視野400倍
【電解質濃度】 尿素窒素:844~3123mg/dl、クレアチニン:28.7~192.5mg/dl、Na:165.0~620.0mEq/l、K:32.5~ 166.0mEq/l、Cl:205.0~620.0mEq/l、Ca:0.3~35.0mg/dl、Mg:2.0~16.5mg/dl、P:20.1~185.0mg/dl、浸透圧:1361 ~2356mOsm/kg