2007年 関東・東北ブロック水族館飼育技術者研究会
展示課 ○大和 淳
新潟市水族館では1994年より継続してクラゲ類を展示している。1994年から2003年までは主にミズクラゲを常設展示していたが,2004年1月のクラゲコーナー新設にともない現在は8本の水槽を使用したクラゲ類の展示を行っている。常時7-8種のクラゲを展示する必要があるため,2004年4月より新潟県沿岸を対象としたクラゲ類の調査採集を開始した。調査採集開始後3年半が経過し一定の情報が蓄積されたため報告する。
調査採集は2004年4月から2007年10月上旬にかけて新潟県下越地方および中越地方に点在する漁港などで不定期に行い,調査採集地点,クラゲ種,個体数を記録した。調査採集地点は18ヶ所,回数は126回(同日に2ヶ所調査した場合は2回とカウント)。数回の乗船採集および素潜り採集以外は陸上から水ダモを使用して採集した。 また,水ダモが届かず採集を断念した個体で種名が確実なものについては「目視確認」として記録した.
記録されたクラゲ種は,刺胞動物門ヒドロ虫綱32種,立方クラゲ綱1種,鉢虫綱4種,有櫛動物門無触手綱1種,有触手綱7種の計45種であった。 実際に展示した種は18種で,その内,おおむね1-2ヶ月以上展示した種は9種であった。
採集方法が限定されているにもかかわらず45種ものクラゲが採集され展示の充実に貢献したと考える。今後の課題として,採集方法の多様化,”研究”を念頭に置いた採集計画の策定および実施,採集生物の長期飼育および繁殖,他園館との情報の共有化による広範囲のクラゲカレンダー作成などがあげられる。